買収にかかる真のコストとは:Zimbraのお話

Boomtownは「米ヤフーがZimbraを売却」と報じています。正直に言うと、これは私たちZohoにとってはあまり驚くニュースではありません。Zimbraが買収されたとき、私はどうも腑に落ちなかったのを覚えています。米ヤフーのような企業がZimbraのようなオープンソースにどのようにフォーカスするのか、技術的にもビジネス戦略的にも分からなかったのです。

 

元々、Zimbraは中~大企業にインストールすることを目的とした、インストール可能なオープンソース製品でした。一方ヤフーはこれまでインストールするような製品を作ったことがなく、主に消費者にフォーカスしており、時折、消費者向けのアプリケーションを小規模ビジネスへ販売してきました。Zimbraのサービスプロバイダーも、ヤフーにとっての戦略的ヒントにはなりませんでした。米ヤフー自身がサービスプロバイダーであり、Comcastのような他のサービスプロバイダーに技術を販売することに興味がなかったのです。
また、私たち自身、パッケージ製品とWebサービスの両立をしようとしてきました。そしてその経験から、パッケージ製品を元に、拡張性のあるWebサービスに作り変えるのは、そう容易ではないと断言できます。実際、Zoho Mailのリリースが遅れてしまったのは、元々Zimbraのようにインストール可能なパッケージ製品として作っていたものを、Webサービスとして根本的に書き換えたからでした。

 

買収はそもそも失敗しがちですが、特にこの買収は思慮不足だったと思います。買収にかかる真のコストとは、米ヤフーが支払った3億5000万ドルの費用だけではありません。2007年にZimbraがクラウドアプリケーションスイートを開始したときには、彼らはZoho の競合相手であり、我々より有名でした。しかし現在では、公平に見てZimbraは我々のメインの競合ではないと思います。明らかに、買収で彼らの動きは遅れてしまいました。もちろん、投資家や経営者の立場から見ればZimbraの買収には意味があります。彼らは利益を得ていますから、これは彼らにとっては「勝利」です。現在ではZimbraに3億5000万ドル払う人はいないでしょう。ヤフーにとっては明らかに損失です。Zimbraの顧客にとっても損失です。最初の買収、そして再度の買収により、必然的に製品の遅れや混乱が起きてしまうからです。究極的には、Zimbraの買収は総合的にマイナスゲーム、または価値破壊でした。米ヤフーや顧客へ還元された価値に、見合わない代償を支払ってしまいました。

 

 

なぜこのことについて書いたかというと、今回のZimbraのような取引が、私たちががベンチャーキャピタルや買収をいつも断り続けている理由だからです。多くのベンチャーキャピタリストと親交があり、彼らを尊敬していますが、本音を言えば、ベンチャーキャピタルモデルは「出口」にあまりにもフォーカスしたモデルだと私は思うのです。ベンチャーキャピタリストが売上への圧力をかけるという意味ではなく(それはあまりにも単純すぎます)、ベンチャーキャピタルを受け入れたら、出口に向かって仕事をしなければならないという暗黙の了解があるからです。

 

私たちにとって、会社はただの使い捨て商品ではありません。団体であり、文化である私たちの会社を、ゆっくりと積み重ね、育んでいきたいと思っているのです。そういう意味で、直接の競合であっても、37Signals社の方々をとても尊敬していますし、このことに関する彼らの考え方に心から感服しています。

 

なお、このブログは、米国本社(ZOHO Corporation)のZoho Blogsを翻訳・加筆したものです。
元の記事(2009年9月21日投稿)は
こちら(翻訳:ゾーホージャパン、一丸)

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