「日本酒の近現代史」に学ぶ顧客帳簿の重要性

Zoho CRM | August 26, 2015 | 1 min read
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photo0000-1430■はじめに
今回の記事では、「日本酒の近現代史 酒造地の誕生」という本からCRMにまつわるエピソードをご紹介したいと思います。この本は、「”日本酒”をキーワードに、日本近現代史の一端を描」(p5)いたものです。扱われているのは近代の江戸から現代まで。

酒造家たちが各時代の経済・社会的な変動、酒税や酒類制度の改変、需要の変動、腐造や機械の導入などの技術的な課題、杜氏や従業員などの労働者不足といったいろんな課題を乗り越えながらどのように自家や業界を発展させてきたかが紹介されています。

■関東大震災による顧客帳簿の消失とその影響
その中のある章で「関東大震災と下り酒の消滅」というテーマのもと、明治末期から大正期にかけての変化について触れられています。1つの画期となったのが関東大震災。

明治20-30年代、東京市場では酒問屋による下り酒(※)の販売が最高潮を迎えていました。

※「下り酒(くだりざけ)とは、江戸時代に上方で生産され、江戸へ運ばれ消費された酒のこと」
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E3%82%8A%E9%85%92

しかし、大正12年9月に関東大震災が発生。その結果、「多くの酒問屋が、先祖伝来の店舗や倉庫を焼亡させ、顧客帳簿が消失し、債権の回収不能になるなどして、経営破たんに陥った」(p139)とのことです。

ここで注目なのが、上記の太字で記載した部分です。顧客情報の重要性はいろんなところでも言われ、当たり前になっている話かとは思いますが、繰り返しすぎても足りないくらい重要な話かと思います。ビジネスの継続性や発展性という観点からは、現預金よりも大事かもしれません。

■顧客帳簿をどう保持するか
その顧客帳簿をどのような形で持つか。クラウドにあげておくのか、自前のシステムでもつのか、エクセルで保存してバックアップをとるのか、紙で管理して大事に保管するか。

私の場合、クラウドに預けておく方がよっぽど安心だと考え、年賀状等に使うプライベートの連絡先のデータもZoho CRMに入れています。自分のPCやハードディスクにもデータとしてはありますが、機器がいつ壊れるかわからないですし、油断した隙に子供のオモチャにされる可能性もあります…orz

Zohoのセキュリティについては以下に詳細がありますが、生体認証を含む複数方式の認証、電力やネットワーク機器の冗長構成、複数拠点でのバックアップといった対策をとっているところは、会社でも限られてくるのではないでしょうか。

特に、紙やローカルのPCやサーバーに置いておいたデータは、震災では失われてしまうリスクが大きいでしょう。一方で、クラウドだからといって絶対に安全・安心ということはありません。その中で、安全性やリスク、利便性やコストといった観点からどういう手段を選び、自分なりにどういう手段を選んでいくかという判断が鍵になってきます。上記の事例はこうした点を考えるのに良いきっかけとなるのではないかと思います。

■変化への対応の重要性
最後に、上記のテーマからは直接的には関係ない余談になりますが、この本で関東大震災の話が紹介される前段に以下のような話も記載されています。

「明治末期から大正前半にかけて、灘や伏見の大手酒造家が、酒質保全に優れる壜詰を販売戦略のひとつにして、ぞくぞくと東京市場に進出し、自醸酒を販売するようになると、酒問屋による下り酒の独占的な営業が揺らぎはじめる(加護野忠雄ほか編『伝統と革新 酒類産業におけるビジネスシステムの変遷』)」(p139)

もともと、東京の酒問屋では酒樽による取引が最重要視され、一定量以上でなければ取引には応じなかったそうです。このため、明治末期から出回りだした瓶詰の取引は小口すぎて論外でした。

酒樽では輸送中に酒の品質が変化することもあり、品質の面では瓶詰の方が優位だったのですが、東京の酒問屋は酒樽の取引にこだわり、結果としてビジネス的には後退してしまったということです。

顧客帳簿の話とはまた違った角度からの話ですが、環境の変化をどうとらえ、どう対応していくか、こちらのエピソードもまた示唆に富んでいたのでご紹介しました。みなさんの今後のビジネス展開に少しでも参考になれば幸いです。

今回は以上です!

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