営業担当者でも運用できるZohoメールマーケティング実践法【連載記事】

メールマーケティングを始めるときの注意点 | 【連載記事】営業担当者でも運用できるZohoメールマーケティング実践法(8)

メールマーケティングを始めるときの注意点

 

こんにちは。
中小企業診断士の岡安です。

 

第7回「メールマーケティングを始めるためのシナリオ」では、初めの一歩を踏み出すための、現実的なシナリオについて解説しました。

 

今回の記事では、メールマーケティングを開始する際に、注意すべき法律や倫理的な観点、マーケティング施策としての注意点などをまとめて、2か月に渡る連載記事の締めくくりとしたいと思います。

 

メールマーケティングを進めていく中でどのようなリスクがあるのか、効果を上げていくためにどのようなポイントに注意した方がよいのかに興味がある方はぜひ読んでみてください。

 

本記事で学べること (読了5分)

  • メールマーケティングを始めるときのリスクや注意点

 

メールマーケティングを実施する上で注意すべき法律

メールマーケティングを実施する上で気にしなければならない法律はいくつかありますが、その中でも重要なのが、

です。

 

すでにメールマーケティングを実施されている場合、特定電子メール法については、意識して対応されているかと思いますが、個人情報保護法も平成29年の改正によって適用範囲が広がったことから、今まで対象外であった事業者も対応を行う必要がでてきています。

 

当然このような法律に違反すると罰則を受けたり、情報が公表されて企業イメージの低下といったことにつながりますので、ここでは、それぞれの法律の注意点をいくつかご紹介します。

 

個人情報保護法

メールマーケティングだけでなく、CRMやExcelなどの表計算ソフトで顧客を管理している場合には、個人情報保護法への対応を行う必要があります。

 

平成29年の改正前までは、5,000人を超える数を保持している場合のみが対象者であったのが、改正後は1人分でも管理している場合に適用されるようになりました。

 

つまり、すべての事業者が対象となったということですね。
(なお、事業者とは、法人だけでなく、個人事業主やNPOなども含まれます

 

細かい話を始めるときりがないのですが、メールマーケティングを実施する上でのポイントは以下の2つです。

 

といったことが考えられます。

個人情報の取得時の利用目的の提示

こちらは、氏名や企業名、メールアドレスを取得する場合に、その情報を何に使うのかを明示する必要があるということです。

 

ここでの提示方法は、個別に提示する形でもよいですし、
ホームページ内の「プライバシーポリシー」や「個人情報保護法について」といったページで事前に公表する形でもよいですが、多くの場合、後者のパターンが採用されています。

 

実務上は、以下のようなプロセスが考えられます。

  1. 社内での個人情報保護方針(個人情報を扱う上でのルール)を決める
  2. ホームページ上で個人情報保護方針を公開
  3. 登録フォームを掲載しているページから、個人情報保護方針を参照できるようにする
  4. 登録フォームに、個人情報保護方針への同意のチェックボックスを入れるか、「送信」された時点で同意されたことになるといった注意書きを入れる

 

Zohoサイトの資料ダウンロード用Webフォームでは、以下のような形になっています。

 

zoho.jpの資料ダウンロード用Webフォーム

個人情報漏洩が発生しないためのルールと仕組みの整備

これは取得した個人情報を安全に管理するための仕組みを整備しましょうということです。

 

一般的には、Excelなどの表計算ソフトや名刺そのものの管理などが行われますが、データを一元管理し、アクセスできる人を限定するなどの措置がとれる形にすべきです。

 

メールマーケティングに対応した多くのサービスでもセキュリティが意識されていますが、その前段の顧客情報が各社員の個人PC上のExcelで管理されていては意味がありませんので、CRMなどのクラウドサービスを利用することも検討するとよいでしょう。

 

個人情報保護に関する各種ガイドラインをしっかり読み、できれば、社内の法務担当者や外部の専門家に確認をして進めるようにしてください。

 

参考ページ) 個人情報保護委員会:法令/ガイドライン等

 

特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)

個人情報保護法は、氏名やメールアドレスを含む顧客情報全般の管理に対する法律でしたが、特定電子メール法は、迷惑メールを防止するための法律で、メールマーケティングを実施していくときには、内容を把握し、法律に違反することがないように注意しなければなりません。

 

それでは特に重要なポイントを整理していきます。

 

特定電子メール法の対象

この法律で対象となるのは、特定電子メール=「不特定多数に対して、広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メール」です。

 

基本的にはメールマガジンなどは対象となりますが、営業担当者から個別に送られるメールや利用中のサービスの保守情報や請求情報のメールなどを送る場合は対象となりません。

 

ただし、少しでも広告やサイト誘導などの要素が入ると対象となりますので、メール配信を行う場合には、基本的には特定電子メール法のガイドラインに沿った運用を行う方針とするのがよいといえそうです。

 

オプトイン規制

問い合わせフォームや資料請求者に対して、メールマガジンなどの広告目的のメールを送る場合には、事前に同意を得る必要があります。

 

よく資料ダウンロード用のフォームなどで、メルマガの送信を「希望するか、希望しないか」を確認するチェックボックスなどの項目があるのではないかと思いますが、あのようなチェックボックスを使って、メールの送付に対する同意を得ることをオプトインといいます

 

法律上では、具体的な方法までは明示されていませんので、何らかの形で同意が得られればよいのですが、チェックボックス形式が一番わかりやすい形といえます。

 

このチェックボックス形式では、デフォルトで「希望する側」にチェックを入れないようにするといったことも推奨されています。(デフォルトオフの推奨

 

なお、デフォルトオフの推奨までは守られていなくても、法律上問題があるとまでは言えませんが、あとは倫理上どのようなスタンスでメールマガジンを送るのかといった観点も持てるとよいでしょう。

 

少なくともだまし討ちのような形でメールを送る同意を得たとしても、顧客からの信頼を得ることはできません。

 

これは、オプトイン規制の例外項目についても同様のことが言えます。

 

オプトイン規制の例外とは、継続的な取引関係がある場合や名刺交換をして取得したメールアドレスに対しては、事前の同意(オプトイン)がなくメールを送っても、法律上は問題がないというものです。

 

例えば、名刺交換がなぜ例外扱いされているかというと、名刺交換を行った場合、慣習上メールが送られてくることは想定されるから、といった理由なのですが、では全く事前の確認がなくメールマガジンが送られてきたとして、気持ちがよいかといえば、そんなことはないですね。

 

展示会での名刺取得や営業担当者が名刺交換をしたといった場合でも、できれば今後メルマガを送りますよといったステップを間に入れる方が、より望ましい形といえます。

 

オプトアウト(配信停止)

こちらは受信者がメールを送ってほしくないと思ったときに、簡単に配信停止を行えることが求められているという項目です。

 

メルマガのフッターなどに入っている配信停止へのリンクなどが、具体的な対応方法となります。

 

配信停止方法を明示できればよいので、「本文に配信停止明記して返信ください」といった案内を入れるだけでも問題はないのですが、担当者の業務が増えてしまったり、配信停止忘れでちょっとしたトラブルになってしまうこともあるので、できれば、顧客側が配信停止を設定できて、自動で配信対象から外れる仕組みがあるとよいでしょう。

 

例えば、ゾーホージャパンからのメールでは、以下のようなフッターで送られてきます。

ゾーホージャパンから配信されるメルマガのフッター部

 

このフッターの、「こちらより登録を解除ください。」というリンクをクリックすると、以降の配信は停止され、CRM側のデータにも配信停止対象であることを自動で連携させることも可能です。

 

他にもいろいろと細かい規制などがあるわけですが、重要なのは、法律に違反しないという最低ラインを守ることだけでなく、顧客の利便性を確保することと、信頼を得られるような仕組みを構築することです。

 

法律で許されているから、とか、グレーゾーンだからといった理由で顧客の信頼を失うようなことはしないように注意しましょう

 

参考ページ)消費者庁:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)

 

メールマーケティングで効果を上げるための注意点

ここまで法律の観点での注意点を説明してきましたが、法律とは関係ない注意点も存在します。

 

これもたくさんあるのですが、ここでは、2点ほど説明します。

 

リストの数と、リストの新陳代謝を意識する

メールマーケティングを実現するための仕組みの中では、連載記事で説明したように、開封率を計測する仕組みやA/Bテストなど、いろいろな機能を活用することが可能です。

 

しかし、このような機能も、ある程度のリスト数がないと宝の持ち腐れになってしまいます。

 

例えば配信数が数十件レベルでは、開封率などは、ちょっとした気まぐれで大きく変動してしまいますし、A/Bテストもテスト結果の信頼性が十分に出ることはありません。

 

色々な機能を使い切るためには、できれば、リスト数は最低1,000件は欲しいところです。

 

逆を言えば、数が少ない段階では、ちょっとした数字に一喜一憂せずに、まずはメールマーケティングを継続するという視点を持てるとよいでしょう。

 

また、リストの新陳代謝も重要な視点です。

 

メールマーケティングがうまくいっていない組織の話を聞くと、最初に整理したリストからほとんどリスト数が変わっていなかったり、徐々に減っているだけということが多いようです。

 

これは、名刺交換した情報を素早く登録したり、新規の見込み客をWebで取得する仕組みがないことが原因ですが、このような状況では、同じ顧客に同じメッセージを送りつづけるといったことになりかねませんので、当然ながら効果が出にくくなります。

 

効果的なメールマーケティングを実践するために、リストの数をある程度確保すること、そのために、リストの新陳代謝、特に新しいリストを確保する仕組みを構築することを意識するようにしましょう。

 

なんでもかんでもメールマーケティングで解決しようとしない

苦労をして仕組みを導入したり、活用を始めると、何か営業上・マーケティング上の課題が出てきたときに、「どうやってメールマーケティングで解決するか」という思考に陥りがちです。

 

メールマーケティングで解決できる課題であれば問題ないのですが、現実的にはメールマーケティングが適していない課題も多いわけですね。

 

例えば、メールをほとんど見ない層に対して、いくら件名を工夫してメールを送ったところで、そもそもほとんど見ていないので、効果は見込めません。

 

そのような場合には、SNSを使ったマーケティングや、紙のダイレクトメールを使った方が、効果が見込めることも当然あります。

 

どんなに苦労して導入した仕組みでも、あくまで一つの手段ですので、手段に振り回されない意識を持つことが重要です。

 

現在は様々なメディアが乱立し、どのメディア(チャネル)を使って顧客とコミュニケーションを図るべきかという正解がない状況といえます。

 

コストや手間との兼ね合いにはなりますが、メールマーケティングだけにこだわらず、実際の顧客の反応や顧客の声を聴きながら最適なメディア活用を行うことを考えることが必要です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

今回は、法律観点での注意点、効果を継続的に出すための注意点をまとめてみました。

 

最低限のルールは当然守りつつ、しっかり顧客と向き合ったメールマーケティングを実践していただければと思います。

 

連載記事のまとめ

これまでの序章+8回の連載で、中小企業でも実践できる、営業担当者でも実践できる「メールマーケティング」についてまとめてみましたが、少しはお役に立てたでしょうか?

 

今回の連載記事では、「なんとなくわかったけど、実践するのはちょっと難しいよね」といったことにならないように、できるだけ具体的な話を入れ込んだつもりです。

 

それでも、マーケティング活動を行ったことがない、クラウドサービスを使ったことがないような場合には、なかなか一歩が踏み出せないことも多いでしょう。

 

ゾーホージャパンでは、そのような「これから顧客データを活かしてメールマーケティングを実践したいけど、どうすればよいかわからない」という方を対象とした、CRMやメールマーケティングの第一歩を踏み出すためのセミナーを毎月開催しています。

 

単なる初期設定だけであれば、資料に沿って進めれば問題ありませんが、セミナーであれば、ちょっとした相談ができる機会にもなりますので、メールマーケティングを実践してみたいとか、顧客データを活用するためにCRMを導入したいと思ったら、ぜひセミナーに参加してみてください。

 

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中小企業診断士 岡安裕一氏

 

【連載記事】 営業担当者でも運用できるZohoメールマーケティング実践法(全8回)

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