営業力とは?

公開日:

2017年8月1日

この記事は10分で読めます

執筆者 岡安 裕一

営業力とは?

いろいろな規模の企業の営業・マーケティング業務改善のご支援を行っているなかで
多くの企業が課題として挙げるテーマが、「営業力の強化」です。

確かに、売上や利益が思ったように上がっていない企業にとっては、
重要な課題であることは間違いありません。

しかし、いったん立ち止まって考えていただきたいのが、そもそも

  • 営業力」とは、いったい何なのか?
  • 営業力」はどのような要素で形作られているのか?
  • 自社にとって、「営業力」が足りていないのはどの部分なのか?

という点についてです。

ここをおろそかにしては、「営業力の強化」を行うための対策として打ち出されたものが、
「それって営業力の強化につながらないよね」とか
「一応効果はありそうだけど、先にやるべきことがあるよね」といったことになりかねません。

そこで今回の記事では、「営業力」とは何なのか、ということを考えてみたいと思います。
当然ながらきちんとまとめると、普通に本が一冊かけてしまうような内容ですので、
考えるヒントになるようなものにできればと思っています。

営業力とは何なのかを考えてみる

営業力≠個人の営業スキル

営業力」と聞くと皆さん、個人のスキルというイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。

いろいろな人に話を聞いてみても、ネットで「営業力とは」というワードで検索してても、商品知識があったり、プレゼンテーションが上手だったり、お客さんから話を引き出すのが得意とか、すぐに仲良くなれるとか、個人に依存するスキルがあり、トータルとして売る力がある=「営業力」があるというイメージを持っているパターンが多いようです。
これはこれで間違いではないのですが、少なくとも経営者とか営業マネージャーが考えるべきなのは、言うまでもなく、個人のスキルも含んだ「組織としての営業力」であるといえるでしょう。

組織としての営業力とは

では、「組織としての営業力」とは何なのでしょうか。

例えば人材という観点から考えてみれば、売れる営業パーソンがたくさんいれば、「営業力」がある組織と言ってよさそうな気がします。
しかし、営業パーソンは、特に個人としての「営業力」がある営業パーソンは、いつまでもその組織にいてくれるとは限りません。

あるいは、個人の営業スキルが高い営業パーソンが大勢いたとしても、売るものが時代遅れの商品だったとしたら、継続的な売り上げを上げ続けることは難しいでしょう。

つまり、売るために必要な要素のどれか一つが突出していても、他の要素がダメダメだったら売れるものも売れなくなってしまうということなんですね。

このあたりが、「営業力」の難しいところです。

まとめると、「組織としての営業力」とは、一つのわかりやすい項目で決まるものではなく、様々な要素が含まれる総体としての売るための力と言えそうです。

きれいに数式化するのは難しいのですが、わかりやすくする意味で、組織としての営業力を表す、以下のような数式を考えてみました。

組織としての営業力≒商品力×集客力×個人の営業スキル×営業マネジメントスキル×営業の仕組み

この数式自体は厳密に組み上げたものではありませんので、足りない部分も重複もあるかもしれません。

例えばお客様(候補)を集める力である「集客力」は、商品そのもの魅力である「商品力」とは切っても切れません。
しかし、ここで重要なのは、どの要素に対して働きかければ、営業力が強化されるのかというあたりをつけることですので、いったん目をつぶって先に進みましょう。

組織としての営業力の構成要素

ざっとそれぞれの構成要素をみていきましょう。

商品力×集客力×個人の営業スキル×営業マネジメントスキル×営業の仕組み

商品力

これは組織が持っている商品やサービス自体の魅力や価値そのものです。
この商品力が高ければ、場合によっては売るための努力=営業活動は実質的には必要ないことがあります。
しかし商品力とは相対的なものであり、競合に真似をされたりするリスクはありますので、常に商品力が高い状態が維持できるかというとなかなか難しいといえるでしょう。

集客力

集客力は、お客様あるいはお客様候補を自社に引き寄せる力です。
集客力にも様々な要素があり、顧客の理解度、ブランド力や組織の信用力、立地、情報伝達力や伝達手段の練度(例:広告を使うのが上手とか)などが挙げられます。
資金を一時的に投下して、集客力にブーストをかけることも不可能ではありませんが、継続的な集客力を組織として獲得するには時間がかかるといえるでしょう。

個人の営業スキル

冒頭にも出た個人としての売る力です。
コミュニケーション力やプレゼンテーション力、商品知識、顧客や競合の知識などから構成されています。また、お客様に好かれるような個人のキャラクターに依存する部分も含まれます。
さらに、営業活動は活動量に比例する部分もありますので、一定の活動量を維持できることやモチベーションを維持できることも営業スキルといってよいでしょう。

営業のマネジメントスキル

どんなに個人個人の営業スキルが高くても組織として正しい方向に動いていなければ、ラッキーパンチはあったとしても、継続的に成果を出すことはできません。
個人としての営業パーソンの方向性をそろえたり、スキルの低い営業パーソンを指導したり、集客力や商品力も考慮しつつ全体最適となる活動を推し進める力です。
一般的には、個人の営業力と同じく、経営者や営業マネージャーの個人スキルに依存する部分が大きいのがこの要素の特徴といえます。

営業の仕組み

ここまでの一要素と違って、営業の仕組みは、ここまで説明した要素をうまく回すための要素といえるでしょう。
派手ではないものの、しっかり構築できれば、継続的な成果が上がり続ける縁の下の力持ち的な要素ですね。
具体的には、日々の営業活動で、どんなお客様にどんな商品が売れるのかを知ったり、ITツールの力で集客したお客様をもれなくフォローできるようにしたり、個人のスキルに依存しないプロセスを作り上げ、それを適切に判断し、マネージャーが個々の営業パーソンをサポートできる仕組みのことです。

営業力の構成要素のどこに働きかけるのか

ここまで「営業力」を構成する要素を説明してきましたが、重要なのはどこに働きかけて、「営業力」を上げていくかということです。

どこから働きかけるべきなのかは、正直言ってケースバイケースで、どんな状況にも当てはまる正解はありませんが、基本的な考え方は存在します。

こういった一つの課題に対して、複数の改善すべき要素がある場合、明らかに劣っている部分を向上させるという、弱点を補う方向性が定石といわれています。
80点のものを90点に上げるのは大変な労力がかかりますが、40点のものを50点に上げるのは、それほど難しいことではありません。
ですので、まずは自社の弱いところを補なうことによって、「営業力」を強化するというのは一つの正解だといえるでしょう。

もう一つの考え方としては、得意な部分をひたすら伸ばすという方向性もあります。
しかし、この方法は、扱っている商品・サービスによりますが、外してしまった場合には、リスクの高い方法だといえますので、すべての企業に当てはまるかというとなかなか難しそうです。

どちらの方向性で行くのか、あるいは別の進め方をするのかは、自分自身の頭で考えるしかありません。
では、実際の組織においてはどんな対策が行われているのでしょうか。

よく見かけるのは、営業力強化=営業研修で個人のスキルの底上げを行うというパターンです。

個人の営業力を上げるという対策も間違った行動とは言えませんが、必ずしも正解とは言えません。
例えば、集客力がない=営業先がない状態でいくら個人の営業力を上げても成果が上がりづらいことはお分かりいただけると思います。
また、明らかに競合と比べて商品力が足りていない状況で、他の要素を頑張って向上させても、成果がでないとは言いませんが、無駄な努力に終わってしまう可能性も高そうです。

自分たちの組織の弱いところを見極めて、どこから手を打っていくのかをしっかり考えなければ、お金と時間の無駄うちをしてしまう可能性がありますので注意しましょう。

すべての要素を底上げするのに役立つのが「営業の仕組み化」

ここまでの話を見ていくと、一つの要素だけを上げてもだめで、一つの要素がすごくだめでも売り上げにつながらない、つまり、理想論としてはすべての要素を、時間をかけて少しずつ向上させていくことが、営業力強化に必要だと言えそうです。

そして、すべての要素を強化していくためには、必要不可欠なのが「営業の仕組み化」です。

自社の営業プロセスでどこがネックになっているのか。競合との比較で負けているのが、価格なのか、特定の機能なのか、ブランドなのか。ある業界では受注率が高くて、別の業界では受注率が低いといったことがあるのか。各営業パーソンが価値の高い時間の使い方ができているのか。個人の成績に偏りがあり、うまくマネジメントできれば売上が上がる可能性があるのか。

こういったことは、できる営業マネージャーがいればある程度把握できて、対策を打つことも可能でしょう。
しかし、こういったことをきちんと把握している経営者・営業マネージャーは実際にはそう多くはありません。

そこで、世の中ではCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)=顧客との関係性をよくするためのサービスSFA(セールスフォースオートメーション)=営業活動を最適化するためのサービスが利用されます。

ITの力を使って、営業の仕組み化を進めることで、現時点でボトルネックになっているのがどこなのかが見える可能性があり、実際に対策を行った後にその効果が出ているのかといったことも追うことができるのが、このような「営業の仕組み化」のポイントです。

もちろん仕組みを入れただけではだめで、きちんと運用して、必要なデータが入力されたり、必要な情報が共有されなければ「営業の仕組み」を活かすことはできません。

もし、自社で営業力を強化するのに、どこから手を付けていいか途方に暮れているという状況でしたら、「営業の仕組み化」を進めることで、改善の手がかりを見つけ出すのが一番の近道かもしれません。

まずは自分たちでできるところまで仕組み化を進めてみるのがおすすめ

実際にCRMやSFAを導入しようとすると、必ずネックになるのがどのように効果的な導入を行うのかということです。

CRMやSFAのサービスの利用料はZohoをはじめとして、低価格ものも増えてきましたが、外部のコンサルタントなどに導入支援を依頼する場合、その導入支援費用などは、単純な金額を見た場合には、中小企業がポンと投資できる金額ではないことが一般的です。

そこでお勧めなのが、ある程度自分たちで試してみて、自分たちでも継続して利用できそうで、効果がありそうな場合に、さらに自分たちで活用を進めるか、外部のコンサルタントなどに支援を仰ぐかを決めるという方法です。

Zoho CRMでは、「営業力の強化」を行うための考え方を学べるウェビナーを多数開催しています。
無料で参加可能ですので、自社の営業力を強化するための仕組みの活用方法について学んでみたい方は、まず参加してみてください。

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