組織営業で人材不足を乗り越える

公開日:

2016年4月12日

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執筆者 岡安 裕一

組織営業で人材不足を乗り越える

今回は、人材不足の時代を営業部隊がどう乗り切っていくべきなのか、という観点のお話を一つ。

人材不足の時代を乗り切るには組織の力が不可欠

昨今の人材市場では、「売り手市場」という言葉に代表されるように、即戦力となる人材はもちろん、普通の人材を確保することすら難しくなっています。

みなさんの周りの経営者や採用担当者も頭を悩ませているのではないでしょうか。

特に中小企業では、大企業と比べて企業としてのブランド力が低い企業が多く、人材募集を行っても反応すらほとんどない、なんて話もよく耳にします。

そのため、営業部隊のリソース確保という側面においては、

  • 即戦力の営業パーソンが採用できない
  • 新人を育てる余裕がなく営業パーソンがなかなか成長しない
  • せっかく育てた人材が転職して一からやり直しになってしまう

といった悩みを抱えています。

中小企業では営業リソースが企業としての売上に直結するため、このような悩みは深刻なものとなりがちです。

さらに、経営者が現場から離れられず、いつまでたっても個人商店のままで組織としての成長が実現できないという結果にもつながっています。

では、この採用難の時代をどのように乗り切ればよいのでしょうか。

現実問題として、市場全体が人材不足に陥っている状況では、採用を劇的に変化させることは簡単ではありません。

しかし、このような人材確保や人材育成の悩みも、個人の資質に依存しない「組織営業」を実現することで解決することが可能なのです。

人材不足の時代を乗り切るには組織の力が不可欠

多くの企業ではいまだにOJTと呼ばれる現場任せの教育方法がまかり通っています。

現場任せのOJTでは、ついた先輩社員の能力・教育に対する意識・業務量などによって、教育の質が大きく変わり、時間とお金をかけて獲得した人材の育成が掛け金の高いギャンブルになっています。

これは組織としての怠慢以外の何物でもありません。

では、組織として人材育成にはどのように向き合えばよいのか。

それは、組織としてのノウハウを蓄積し、それを正しく伝える仕組みを持った「組織営業」の実現です。

もし「組織営業」の実現によって、「売れるノウハウ」が組織内に蓄積されていれば、そのノウハウを中途採用者や新人に効率的に伝えることで、入社から戦力になるまでの期間を大幅に短縮することができるのです。

年収も高くなかなか中小企業には入社してくれない無理目な即戦力人材を採用する方向に努力をするのではなく、企業文化にあった素直な人材を採用して、即戦力に育て上げるという方向に努力すべきということですね。

「組織営業」の実現による営業パーソンの育て方

では、どのように「売れるノウハウ」を使って教育していけばよいのでしょうか。

営業パーソンのための分厚いマニュアルを誰かが作るべきでしょうか。

もし「売れるノウハウ」がCRM/SFAツール上に実装され、営業プロセスそのものが確立できていれば、分厚い営業マニュアルは必要ありません。

なぜなら、顧客/商談の状況に応じて、営業パーソンが次にどんなアクションがとるべきかは常に明確になっているからです。

先輩社員は、

  • なぜそのような営業プロセスになっているのか
  • どのようにその営業プロセスを実現させていくの

を教えればよいのです。

つまり、「売れるノウハウ」を作りあげられれば、実際の商談をベースに本当の意味でのOJTによる教育を効果的に実施することができるようになります。

さらに営業マニュアルも作らず、実際の商談を使った効果的な教育を行うことで、忙しい先輩社員の負担を減らすことにもつながるのです。

突然の退社にも対応できる仕組みも作る

企業を経営していると様々な理由で社員が去っていく事態は避けられません。

そんなときに無理やり引き留めるのか、笑顔で送り出すのか。

個人的には例えエース人材であったとしても、笑顔で送り出すべきだと考えています。
(もちろん退社を希望する社員との対話とそれをもとにした組織の改善などは必須です)

無理に引き留めて、一時的に退社を回避できても、単なる先送りに過ぎないことが多いというのが、その理由の一つです。

さらに、円満退社が前提ですが、自社のことをよく知っている社員が他の企業に行くことは、長期的にみると何らかの形でプラスに働くことが多いようにも感じています。

そして、社員を笑顔で送り出すためには、組織としての余裕が必要であり、その余裕を生み出すのが、「組織営業」による突然の退社にも耐えうる仕組み作りです。

ここまでお伝えした人材育成の仕組みを組織の中に作り上げられれば、万一社員が辞めてしまった場合でも、新たな人材を短期間で戦力として育てることが可能となります。

つまり、組織としての営業力をすぐに回復させることができる=余裕が生まれるということです。

引き継ぎについても、CRM/SFAツールに顧客のデータや今までの経緯を一元管理しておけば、顧客のことを誰も知らないなどという事態も避けられます。

今まで無理な採用を行うために使っていたお金や時間を社内にいる人材に振り分けることで、企業にも社員にも余裕が生まれ、それがひいては社員の退社を防ぐことにもつながっていくのです。

魔法の杖ではなく、小さなきっかけとしてのCRM/SFAツール

ここでご紹介した「組織営業」の実現は、簡単ではなく、組織としての覚悟と継続的な取り組みが必要です。

CRM/SFAツールを入れただけで、組織としての考え方やビジネスプロセス自体が変わらない限り、何も変わらないからです。

しかし、組織を変えようとするときには何らかのきっかけが必要なこともまた事実です。

CRM/SFAツールの導入は、何らかの形で組織に波紋を投げかけることになり、組織を変えるきっかけの一つになりうるものだといえるでしょう。

ツールは魔法の杖ではありませんが、うまく使えば思った以上に効果を発揮するものです。

もし、まだ営業の仕組みを作りあげるツールを使っていないのであれば、組織としての在り方を考えるきっかけとして、CRM/SFAツールの導入を検討してみてください。

例え導入に至らなかったとしても、社内のコミュニケーションが発生し、必ず組織にとってプラスに働くことになるでしょう。

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