ホットな新規見込客の見極めのポイント

こんにちは。

中小企業診断士の岡安です。

前回の記事では、営業の効率化という観点から生産性向上で訪問件数が3倍にというお話しをしました。

その中で、売上向上に結び付く訪問件数を増やすために、
「正しい訪問先を選別する」(=売上につながらない訪問を減らす)
ことが必要だというお話もしたのですが、どうやって正しい訪問先を選別すればよいのかという点もよくご支援先の企業からご質問いただくポイントです。

関係構築ができていない新規見込客の中から、成約に結び付く顧客とそうでない顧客を見極めることは簡単ではありませんので、みなさん悩まれるポイントのようです。

そこで、今回は、営業活動の質を上げるための「ホットな(=成約につながる)新規見込客の見極めのポイント」について深堀りしてみたいと思います。

さんざん振り回された挙句の失注

新規顧客との商談をすすめている際に、情報提供だけをさせられて、結局は受注に至らなかったといった経験をしたことがある営業パーソンは多いのではないでしょうか。

私も営業時代には、さんざん振り回された挙句に、案件が立ち消えになってしまったり、詳しい選定状況もよくわからずに他社にあっさり決まってしまった、なんて苦い経験を結構したものです。

このような状況は顧客側としては、意図的でない場合もありますが、多くの場合、
「具体的な案件ではなく、単なる情報収集段階だった」
「単なる情報提供先としてしか見られていなかった」
「社内ルールで相見積をとる必要があり、他の業者に発注するための当て馬とされた」
といったことが原因です。

このような見込客は口では、「今期中に必ず案件が動きます」とか、「すでに予算は確定しています」とか、「御社が最有力候補です」、などと耳障りのよいことを伝えてきます。

ですが、そのような言葉を信じて振り回された挙句に、あっさり失注してしまうという悲劇が繰り返されるのです。

もちろん営業活動を行っていく上では、失注は避けられませんので致し方ない部分はありますが、できれば無駄な動きは避けたいところです。

では、どのようにそのような顧客と本当の見込客を見極めればよいのでしょうか。

顧客の言っていることでなく、顧客の行動で見極める

そのような顧客と本当の見込客を見分けるポイントは、「顧客の行動」です。

例えば「決裁権限者にいつまでたっても会えない」とか「案件開始までに日がないはずなのに、社内手続きが一向に進んでいる気配がない」といった状況が見受けられた場合、その商談は黄色信号が灯っていると判断して間違いないでしょう。

そのような顧客の行動を観察して、案件を見極めることができれば、かなりの確率で受注に結び付く顧客とそうでない顧客を選別することができるようになります。

この時に注意するのは、どのようにその行動を見極めていくかの具体的な方法です。

例えば商談の確度を判別する条件として有名なBANT条件がありますが、そのうちの一つの予算(Budget)について、「予算はすでに確定していますか?」と直接訊いたところで、それほど信頼関係がない見込客からまともな答えが返ってくることは稀です。

返ってきたとしても、それが事実なのかは、なかなか判別できるものではありません。

確認するべきは、企業内のプロセス

そのような場合には、まずはできる限りその企業内の予算執行のプロセスを確認することが必要です。

予算と一言で言っても、期初の予算が取れていれば、その後の執行(外部への発注の確定)はほとんどノーチェックの企業もあれば、執行段階でさらに稟議を上げることが必須の企業もあります。

ワンマン経営の企業では、例え一部上場企業でも30万円を超えたらかならず予算の執行には社長決裁が必要なんてことも実際にありえるのです。

このように予算の執行などには、企業ごとに独特のプロセスやルールがあるものです。

そのプロセスが確認できれば、実際の案件が動くまでに担当者がとるべき行動も見えてきます。

その想定される行動と実際の顧客の言動が一致していないと感じたら、怪しいなと感じるべきといえるでしょう。
上記は予算に関する見極め方法の具体例でしたが、自社の商材の種類や価格・顧客の特性などによって判別するべき条件は異なるため、その確認方法は無数に存在します。

このような方法を営業パーソンが一人で確立していくというのは現実的ではありませんので、組織的にそのノウハウを作り上げていく必要がでてきます。

顧客の見極めのノウハウは社内に埋もれている

日々多くの見込客を訪問し、多くの受注も失注も経験しているのが営業パーソンです。

エース人材であれば当たり前のように、顧客の行動に基づく見極めの方法などは押さえているでしょう。

逆に、失注ばかりの営業パーソンも「失注するためのノウハウ」をたくさん持っているといえなくもありません。

つまり、顧客を見極めるためのポイントは必ず社内にあふれているのです。

ただし、そのノウハウが暗黙知のままで、みんなが使えるノウハウになっていないのが問題なのです。

ですから、顧客の見極めの質を上げるためには、埋もれている社内のノウハウを吸い上げて、共有化していく必要があるということになります。

そういったノウハウが、初回訪問〜受注に至るまでの商談プロセスできちんと整理されていれば、営業活動の無駄はかなり省くことできるでしょう。

見極めにこだわり過ぎないことも必要

ここまで顧客の見極め方についてお話しをしてきましたが、もう一つ忘れてはいけないのは、顧客を見極めた後にどうするのか、という点です。

確度が低いと判断できたとして、その後に顧客との接触をいきなり行わないわけにもいきませんし、そもそも見込客数が少なくて、既存の営業リソースですべてをカバーできるため、見極めを行う必要自体がないという可能性も十分にあります。

見極めの条件を絞りすぎて、営業活動、ひいては受注数自体が減ってしまっては意味がありませんので、もし、見極めた後にどう行動するのか(あるいはしないのか)を整理してみて、営業活動にあまり影響がでないようであれば、そもそも見極めにはごくシンプルなルールだけあれば、十分なのかもしれません。

多くの企業においては、顧客の見極めを行うよりも営業プロセス内の無駄(同じような資料を各担当者が毎回作成しているなど)をなくす方が優先度が高いことに注意しましょう。
次回は、「営業プロセス改善が実現できない3つのパターン」についてお届けする予定です。

岡安さん

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