BtoBマーケティングに必要なシナリオとは?

すべて, 中小企業診断士 岡安, 特筆記事 | June 10, 2016 | 1 min read
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こんにちは。中小企業診断士の岡安です。

5月に行われた「第10回WebおよびデジタルマーケティングEXPO(WebベースのMo)春」では、「プロが教える使える流儀10分トークセッション」と題して、ZOHOのパートナー各社が、CRMやマーケティングオートメーションを活用する実践的なノウハウを多くの方に伝えました。

今回の記事では、私が当日お話しした「BtoB企業ですぐに使える3つのWebマーケティングシナリオ」をベースに、Webマーケティングを実践するために必要なシナリオとはどういったものなのかについてお届けします。

マーケティングシナリオとは?

マーケティングシナリオという言葉をお聞きになったことはありますか?

シナリオとは、一般的には「映画・テレビなどの脚本」のことを指しますが、その他にも「計画を実現するための筋道」という意味も持っています。

ですので、ビジネスの場で使われるのは、多くの場合が「計画を実現するための筋道」としてのシナリオという言葉ということになりますね。

そうすると、マーケティングシナリオという言葉はどのような意味になるのでしょうか。

個人の見解としては、マーケティングシナリオとは、

「集客から売上までのマーケティング・営業プロセスを実現するための道筋」

であると思っています。

マーケティングシナリオを設計する際のポイントは、マーケティングだけではなく、営業プロセスまで意識できているかどうかです。

特にマーケティング担当者と営業担当者が分かれている場合には注意が必要なのですが、集客や見込客を獲得するステップのみに意識がいっていると、営業のクロージングにまでもっていくことができず、せっかくかけたコストや手間が無駄になってしまうということも起こりえます。

シナリオとストーリーって何が違うの?

もう少しシナリオという言葉を深堀してみましょう。

シナリオとイメージが似た言葉に、ストーリーという言葉があります。

実はこの2つの言葉、ストーリーとシナリオには明確な違いがあるのです。

ストーリーは端的に言えば「話の流れ」です。

あらすじといってもよいかもしれません。

マーケティングストーリーという言葉はあまり使われませんが、もしそのような言葉を使ったとすると、こんなイメージになります。

「今年度の上期の目標売上を達成するために、展示会に出展し多くの名刺を集め、そこから見込客を掘り起こし、商談につなげる。すぐに商談につながらない見込客はメールマガジンを送付して関係づくりを行う。」

マーケティング定例や営業会議などで話されていそうな内容です。

それに対して、マーケティングシナリオの場合には、こんなイメージです。

「今年度の上期の目標売上を達成するために、展示会に出展し1,000件の名刺を集め、すぐにデータ化、CRMに顧客データを投入し、3日以内にメールでお礼とフォローセミナーの案内メールを送信。翌月のフォローセミナーに60名の見込客を集客し、そのうちそこから見込客を掘り起こし、6件の商談につなげる。」

「具体的な検討が始まっていない見込客については、メールマガジンを送付して、長期的な関係構築を行い、翌年以降の見込客として、主に無料セミナーなどを案内し、長期的に育成を行っていく。」

「機会損失を防ぐために、見込客の企業内で具体的な検討が始まったかどうかを常に確認するようにする。具体的にはセミナー参加時に確認、もしくは、マーケティングオートメーションの顧客行動追跡機能を使用してスコアリングを行い、スコアリングが300点を超えたら営業が電話でフォローを実施することで確認を行う。」

ストーリーとの違いがお分かりいただけるでしょうか?

ストーリーはあくまで話の流れ・あらすじなので、具体的にいつ、誰が、どんな基準で、どんな手段を使ってアクションを起こすのかまでは明確になっていません。

情報の粒度が粗い状態です。

それに対してシナリオは、「実現するための道筋」であるため具体的な計画にまで落とし込まれています。

ストーリーレベルで終わっていることの問題点

多くの企業では、企画段階ではこのストーリーのレベルで検討が終わってしまっています。

それの何が問題なのでしょうか?

それは、実行段階ではっきりとわかります。

マーケティング活動を実行していくとどうすべきか迷う場面が多く出てきます。

例えば、「新規の見込客が態度としては非常に積極的だが、検討時期や予算の話を振っても明確な回答がない。すぐ営業フォローに回すか、育成に回すか判断がつきづらい」といった具合です。

ここの判断を間違えると、
・せっかくの商談機会を逃してしまう
・案件化しない顧客に振り回されてしまう
のどちらかに陥ってしまうことも考えられます。

「具体的な検討が始まっていない見込客」に対するアクションが決まっていたとしても、それを判断する基準があいまいでは、機会を逃さない活動を確実に実施することはできないという訳ですね。

基準以外にも、電話でフォローするにして、具体的にどこに誘導するのか、どんなメッセージを伝えて、顧客の心理に変化をもたらすのかなどが決まっていなければ、やはり効果的なフォローは実施できません。

このように、判断基準やタイミング、具体的な手段などを決めておかないと、現場で活動を実施する担当者が成果を上げることは難しく、そもそも思った通りの活動をしてもらえないといったことも起こりえます。

つまり、効果的で確実なマーケティング・営業活動を行うためには、情報の粒度の粗いストーリーレベルではなく、具体的な計画に落し込まれたシナリオが必要不可欠といえるということですね。

シナリオはどうやって作ればよいのか

マーケティングには具体的なシナリオが必要ですという話をすると、経験がない状態でいきなり「完璧なシナリオ」を準備し始めてしまう人がいます。

そもそもやってみた経験もない状態では、完璧なシナリオなど用意できるはずもありません。

初めてシナリオを考えるような場合には、シナリオの準備はそこそこで切り上げ、まずは実行してみることが重要です。

実施して初めてどんな判断基準が必要なのか、事前に準備しておくべきことがあるのかなどが見えてきます。

ただし、粗いシナリオでもよいので、事前の計画は立てておかないと、どこに問題があったのかなどの反省もできませんので、なかなか難しいとは思いますが、自分なりにシナリオは考えるようにしてみてください。

もしより具体的なマーケティングシナリオについて知りたいという場合には、

Zohoで開催しているセミナーなどでも参考となる内容をお伝えしていますので、お気軽にご参加ください。

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