Zoho CRMとマーケティングオートメーション
続いてのZoholics Japan 2018午後の部トラック1の講演は、ゾーホーコーポレーションのシニアプロダクトスペシャリストのSuresh(スレッシュ) Kumar JがZoho CRMとZoho Campaigns(メールマーケティング)、Zoho SalesIQ(ウェブトラッキング)の連携機能について紹介しました。
「売上を伸ばすためにはマーケティングオートメーションによって営業とマーケティングをつなげる必要がある」と語り、顧客管理ツールであるZoho CRMとメールマーケティングツールのZoho Campaigns、ウェブトラッキングツールのZoho SalesIQとの連携機能について、デモを行いながら解説しました。
マーケティングと営業の協力が不可欠
多くのビジネスでは、顧客との最初の接点はウェブサイトで、顧客の誰もがまずウェブサイトを訪れます。
そのため、まずはウェブサイトから見込み客を獲得する必要があります。次にチャットでやり取りし、興味を持った見込み客にはフォローメールを送信して、その結果をCRMに登録します。こうして、営業担当による顧客対応が可能になります。
売上を達成するためには、マーケティングと営業の協力が不可欠です。両者の間で顧客に関する情報が正確にやり取りされる必要があるからです。
Zoho CRMに情報が統合されることで、情報がより正確に伝えられるようになり、効率的な営業活動が可能になります。
ここで、スレッシュは、マーケティングと営業の役割とフローについて解説。
マーケティング:
見込み客をWebから獲得して、チャットでやり取りすることで興味関心を引き出します
アクティブな見込み客にはメールを配信して、確度を見極めます
有望な見込み客として見極められた見込み客の情報を、営業に引き渡します
↓営業:
マーケティングから引き渡された有望な見込み客をさらに精査し、営業活動を開始します
「これらの一連のプロセスは、CRMに情報が一元化されていることによって実現できるのです」とスレッシュは言い、次に、Zoho CRMがどのように役立つかを説明しました。
Zoho マーケティングオートメーションで実現できること
Zoho CRM上で情報を一元化できます。具体的には、
一つの画面で、見込み客情報やステータスと一緒に、マーケティング活動の結果として、Zoho Campaignsから配信したメールの開封やクリックなどの反応も確認できます。
その他にも、Zohoマーケティングオートメーションの導入メリットを次のように紹介。
Zohoマーケティングオートメーションの導入メリット
- 情報を一元管理できる
- 顧客情報が整理され、営業担当が対応しやすい
- 背景情報が把握しやすく、営業コールに役立つ
- 有望客のみ引き渡せて、営業効率アップ
- これらから、受注率も向上!
このように、マーケティングオートメーションによって、営業とマーケティングがつながり、獲得した有望な見込み客の情報をスムーズに引き渡して、営業成果を上げることができるようになります。
続いて、スレッシュは、Zoho CRMに連携する2つのマーケティングツールを紹介しました。
Zoho SalesIQ – ウェブサイト訪問者追跡・チャットツール
Zoho SalesIQはウェブサイトの訪問者をリアルタイムに追跡できるトラッキングツールで、訪問者の情報はCRMで管理できます。
また、チャット機能も備えており、訪問者からの質問に答えることができます。
サービス画面上で、リアルタイムにウェブサイトの訪問者を確認できます。
このとき、すでにCRMに登録されている顧客であれば、画面上に顧客名も表示されます。
姓名、国などの顧客情報と同時に、訪問したページ、閲覧時間などのサイト訪問履歴を把握できます。
新しい見込み客が訪問した場合には、チャットでやり取りすることで、質疑応答などの対応が可能です。
見込み客を選択して、画面に入力するだけでチャットを開始できます。このとき、顧客の画面にはチャットボックスが表示されます。
その場ですぐにサポートサービスを提供できることで、効果的に興味関心を引き出せます。
また、チャット対応によって、新しい顧客の情報も取得できます。
自動化:Zoho Campaignsとのデータ同期
Zoho Campaignsと連携して、SalesIQで獲得した見込み客情報を同期できます。
(訪問履歴から見込み客のスコアリングが可能なため、)必要条件が揃った時点で、関心の高い見込み客として分類し、メール配信リストに自動追加するなどの設定が可能です。
Zoho Campaigns – メール配信ツール
Zoho Campaignsは、メルマガなどメールの一括送信と計測が可能なツールで、配信結果をCRMに同期できます。また、SalesIQやCRMからリストを同期できます。
メールの本文作成には豊富なテンプレートを利用でき、エディタで編集も可能です。
画像、ボタン、表など、ドラッグ&ドロップ操作で様々な要素を本文に追加し、容易に設定できます。
さらに、顧客情報から項目データの差し込みも可能です。
自動化:自動メール送信
Zoho Campaignsでは、メール配信を自動化できます。
自動メール送信には、対象や起点の種類によって、7つの設定方法があります。
- 登録日基準:ウェブサイト訪問やフォームお問い合わせなどによる新規見込み客にメールを送信
- 日付の項目:見込み客の誕生日や顧客の契約日などにメールを送信
- グループ:指定した配信リストに一連のメールを自動送信
- カレンダー:毎年のシーズンイベントなどにメールを送信
- メールに関する操作:一連のメール送信を設定し、受信者の開封やクリックの操作に応じて次のメールを送信
- スマートシリーズ:指定した間隔で一連のメールを送信
- 巡回:サブスクリプション契約の顧客などに対して、契約期間ごとにメールを送信
一連のメールを自動送信する場合は、メールごとに配信条件を設定します。
また、開封/未開封、クリック/未クリックなど、メールへの受信者の反応をリアルタイムに計測できます。
自動化:Zoho CRMとのデータ同期
Zoho Campaignsでメルマガ登録フォームを作成して、見込み客を直接獲得することも可能ですが、
Zoho CRMと連携して、CRMのウェブフォームで獲得した見込み客を、Zoho Campaignsに同期することも可能です。
一方で、Zoho Campaignsの見込み客情報と配信結果をZoho CRMに同期できます。
CRMからCampaignsへ、CampaignsからCRMへの、どちらの方向への同期も設定でき、リアルタイムの同期も可能です。
自動化:ワークフロー
Zoho Campaignsのワークフロー機能では、条件に応じたアクションの実行を自動化できます。
たとえば、受信者のメールの開封/クリックの操作に応じて、興味関心に応じた別の配信リストに自動で移動するといった仕組みを構築できます。
ワークフロー設定は、実行タイミングに応じた、3つの設定方法があります。
- 今すぐ(即時)
- 時間ベース
- 活動(操作)ベース
選択したリストのうち、指定した条件に合う連絡先に対して、指定したタイミングで、アクションが実行されます。
実行できるアクションは、メールの配信、メーリングリストへの追加、リストからの削除、スコア追加等。
ワークフローを一度設定するだけで自動化できます。
たとえば、SalesIQ連携によって登録されたウェブサイト訪問者のうち、都市が横浜の人に対して、地域限定キャンペーンのメールを自動送信できます。
このように、ターゲットごとの分類やアプローチの仕組み化が可能です。
メール配信では、「トラッキングが非常に重要」だとスレッシュは言います。
メール配信後に、レポート上で確認できる「未開封」「未クリック」のリストに対して、その場でフォローアップメールの送信が可能です。
さらに、メールへの反応に応じて受信者をスコアリングしたり、フォローメールのアプローチをワークフローで自動化したりといった運用も可能です。
Zoho CRMとマーケティングオートメーション
Zoho SalesIQによるウェブサイト訪問履歴やチャットでのやりとり、Zoho Campaignsによるメール配信結果などの情報はすべてZoho CRMの顧客情報に集約されます。
これらの情報をもとに、営業がアプローチするのに最適な時間帯が算出されます。
CRMの見込み客の詳細画面では、見込み客のデータ元としてSalesIQからの登録であることや、訪問したウェブページ、配信したキャンペーン、アプローチに最適な時間帯をひと目で確認できます。
有望な見込み客として判断した場合は、CRM上で連絡先に変換することで、営業に引き渡せます。
さらに、連絡先への変換については、「SalesIQ上からも直接変換が可能」だとスレッシュは解説。
チャットのやりとりで、関心が高く、有望客と判断できた場合には、CRMでデータを確認することなく、SalesIQ上で直接営業に引き渡せます。これにより、迅速に営業プロセスを開始できます。
「2019年、マーケティングオートメーションを1つで完結できる新サービスをリリースする予定」だと、最後にスレッシュは言及しました。
見込み客のフロー(プログラム)を設定でき、フローに沿った有望客だけ営業に引き渡すことができるようになるとのこと。
また、見込み客のデータ元として、facebook広告、Google広告などの情報も把握できるため、流入元別の成果も明確になります。
同様に、マーケティング施策の予算と受注成果を一元管理できるため、ROIを把握して、PDCAを容易に回せるようになると、さらなる進化を語り、締めました。
いかがでしょうか。売上向上のために、いかに営業効率の高い見込み客を獲得し、営業にきちんと引き渡すか。これに欠かせないのがマーケティングオートメーション。本講演では、Zohoでのマーケティングオートメーション実践を、ウェブサイトからの見込み客の獲得、メール配信によるフォロー、CRMでの情報一元化と成果計測、というシンプルなシナリオで紹介しました。イメージできたでしょうか。ウェブサイトとZoho CRMをすでに運用している方なら、同じ画面デザインで操作も簡単なSalesIQとCampaignsもぜひ一度試してみてください。成功事例もぜひご参考に。また、会場からは以下のような質問がありました。
Q)特定のウェブページにアクセスしたお客様にメールを送信する方法はありますか?
A)自動メール送信機能で、2段階のメール送信設定が可能です。最初に送信したメール本文内のURLをクリックした人に対して、別のメールを自動送信するよう設定できます。
お客様の興味関心に応じた効果的なアプローチの仕組みを簡単に実現できそうですね!
まもなく新しいマーケティングオートメーションサービスも登場します。今後の進化もぜひお見逃しなく。
●顧客管理&営業支援ツール「Zoho CRM」公式サイト: zoho.com/jp/crm
●ウェブサイト訪問者追跡・チャットツール「Zoho SalesIQ」公式サイト: zoho.com/jp/salesiq
●メール配信ツール「Zoho Campaigns」公式サイト: zoho.com/jp/campaigns
●シンプルですばやいマーケティングオートメーションで急成長!株式会社ジーニアスウェブ導入事例
講演動画と資料
(※ 英語の講演です。Youtube画面の左下にある「字幕」設定より、日本語字幕(自動翻訳)を表示できます)
<Zoholics Japan 2018 レポート 目次>
▼午前の部 共通トラック:
- 【基調講演】シームレスな連携でビジネスを加速させる チーフエバンジェリストが示すZohoの世界観
- 顧客情報は会社の資産 Zoho Oneで目指す業務改革
- Zoho Oneユーザー対談 導入の決め手と構築中・運用開始後のポイント
- Zohoをもっと使いたくなる ユーザーコミュニティー「ZOHO CREW」の紹介
▼午後の部 トラック1:
- Zoho CRMのカスタマイズ
- Zoho CRM SFA機能(ブループリント、ワークフロールール)のご紹介
- Zoho CRM とマーケティングオートメーション
▼午後の部 トラック2: