Zohoだからできた! 複数店舗間での効率的な業務フロー| 同じ土俵合同会社様ユーザー事例
Zoholics Japan 2018 午後の部トラック2では、コミュニケーション&コラボレーションツール「Zoho Connect」のユーザー講演として、同じ土俵合同会社の島田博之氏が登壇しました。
古本ネット通販事業を手がける「同じ土俵合同会社」はユニークで効率的な事業をネットを通じて展開する一方、障害者が「同じ土俵で」活躍できる場、働く場を提供するという社会的にも意義のあるビジネスモデルをZohoサービス(Zoho CRM、Zoho Form、Zoho Connect)の活用により実現しています。
島田氏は、前職のアマゾン社やヤフー社などでSFDCの導入に従事。5年ほど前にZoho CRMを知り、その使いやすさに魅了されて、独立後に導入。本講演では、古本ネット通販事業でのZoho Connect等の具体的な活用事例と導入効果を詳しく解説しました。
障害者の特性を活かし、通販会社の人手不足も解消へ
同社では、ネット上での古本の引取・買取から、アマゾン店舗での販売までを行っています。
特に、買取した中古本の出品・配送の作業を、障害者就労施設で実施しています。
障害者施設での主な業務は、「仕分け・クリーニング」「出品」「(売れた本の)ピッキング」「梱包・配送」。「特に、出品作業ではバーコードリーダーによりAmazonのデータを元に売れる金額を把握できるため、古本の目利きが不要。誰でも行いやすい業務となっている」と島田氏は解説します。
障害者施設での業務従事者は、主に精神障害(統合失調症・発達障害など)を持つ人で、さらに最近増えているのが、うつ病で働けなくなり会社を辞めた人たちとのこと。
「細かい作業をきっちりやることができる障害者の特性を活かせるため、出品・配送の作業は障害者施設の就労業務として適切だ」と島田氏は語ります。また、「お客様と対面で接することに抵抗がある人でも、ネットを介してお客様からの高評価やコメントが得られるため、やりがいにつながりやすい」と説明しました。
一方で、企業側の背景としても、「昨今の配送業者におけるドライバーの人手不足のように、ネット通販の購入者が増える一方、それを支えるサービス側の人手不足が問題になっている。特に、通販会社の梱包作業などは人手が全く足りていない。障害者就労支援事業所によってこれを補える」と島田氏は熱く語ります。「全国に1万以上ある障害者施設でも仕事の獲得に苦労している。これをうまくマッチングしたい。」
「『アマゾン売上No.1』で表彰されることが第一目標」だと島田氏。表彰されることで、通販会社での業務が障害者の新しい仕事として認知されることを期待しています。
複数の拠点間での情報共有と業務効率化をZohoで実現
島田氏はZohoサービスの導入経緯を次のように語ります。「出品施設は全国に8拠点あり、複数の拠点間でうまく情報共有や教育をしながら、出品作業を効率的に進めていくことに困難さを感じていた。」
複数拠点を構える背景としては、「さまざまな場所で発生する不要本を一ヶ所に集めて出品作業をすると、配送料がかかってしまい採算が合わない」ことを島田氏は挙げます。そこで、「全国に1万以上ある障害者施設で本の保管と出品作業を担ってもらうことで、その配送料を抑えられる」という狙いを語ります。
また、島田氏は「アマゾンの販売店舗は実績により評価が積み上がり、評価が高いほど本が売れやすくなる」。そのため、「障害者施設ごとに販売店舗を新たに構えるのではなく、複数の施設で協力して既存店舗を支える形にすることで売れやすい構造にしている」と解説。また、「協力し合うことで現場も盛り上がるのが良いところ」とも説明しました。
島田氏は、ここで具体的なZohoサービスの活用方法を紹介。拠点間での業務上、課題となっていた情報共有や業務効率化をどのように解決したのかを解説しました。
Zoho CRM、Zoho Formの活用による課題解決
■ 複数拠点間での情報共有
■ 障害者が実施可能なきっちりした業務フローの確立(業務の効率化)
Form 申込みフォーム:顧客情報の自動取込
買取サイト(本棚すっきり研究所)での不用本買取の申込みフォームを、Zoho Formで作成。
これにより、お客様情報はZoho CRMに自動で取り込まれ、拠点間で共有できる。
CRM 発注書タブ:査定書を自動生成
Zoho CRM上では発注書タブをカスタマイズして買取査定情報を管理する専用タブを用意。
このタブに、障害者施設で買取本の査定結果が入力され、その情報を元に査定書PDFが自動生成される。
お客様に査定書をメールで送付し、承諾されたら商談成立。島田氏が確認し、査定金額を入金。そして、買取された本は出品されていく、という流れ。
CRM ワークフロー:次に行うべきタスクを自動表示
買取申込みは複数同時にどんどん入ってくる。現場が混乱しないよう、対応ステータスをタスク管理。
Zoho CRMのワークフロー(自動化設定)により、次に行うべきタスクを自動表示して、対応漏れを回避。
オンラインマニュアルとFAQの整備により、各拠点での業務の標準化を実現
出品作業の品質を保持しながら効率的に進めるためには、各拠点の従事者とのコミュニケーションとともに人材育成が必要です。同社では業務マニュアルやよくある質問集(FAQ)を作成して、拠点間で共有しています。
Zoho Connectの活用による課題解決
■ 各拠点との密なコミュニケーション
■ マニュアルの更新が頻繁に必要
「アマゾンなどの出品ツールは常にバージョンアップしていくため、マニュアルも随時更新して行く必要がある。」と島田氏は説明します。また、「紙のマニュアルだと新しい情報を反映しずらいことから、トラブルも起こっていた。そのため、マニュアルのオンライン化に着手した」と振り返ります。
はじめは「Googleサイトを利用してオンラインマニュアルを作成していた」が、「Gmailがないとユーザーのアクセス権限が設定できず、Gmailを持っていない人には共有できないなどから全体的な導入が困難だった」と島田氏は振り返ります。その結果、「どんなアドレスでも登録利用できるZoho Connectに移行した」と経緯を説明しました。
グループ:出品施設とのコミュニケーション
出品施設ごとにグループを作成。複数の担当者を登録して、島田氏と拠点との情報共有を実現。
フォーラム:問い合わせ窓口の一本化で、FAQとしても活用
出品施設からの問い合わせや改善要望を一本化。トピックごとに分類され、島田氏が回答。
よくある質問(FAQ)としてどの拠点からも参照できるため、各拠点の新人が業務上の不明点を解消できる。
マニュアル:作業手順をオンラインで管理&共有
アマゾン出品マニュアル(作業手順)を整理。クリーニング作業の動画の挿入や、コンディション分けの基準を画像を交えて共有するなど、初めての人でもすぐに理解できる。
Zoho活用による攻めのマーケティングに意欲
最後に、「新たに始める『名刺のデータ化』の事業で、Zohoのマーケティングツールを活用していきたい」と島田氏は今後の展望を語りました。
「自社でのCRM運用でも、名刺データの入力が大変。」と説明する島田氏。データ化作業には、住所の区分けなどさまざまなつまづきがあり、「見込み客にすぐにアプローチするのが難しいという課題を感じている」とのこと。そこで、「名刺データ化作業を障害者にきっちりやってもらえると便利なサービスになる」と、島田氏は新規事業の可能性を確信しています。
「Zoho Campaigns(メール配信)、Zoho SalesIQ(チャット)、Zoho PageSense(ウェブサイト解析)をうまく活用して、攻めのマーケティングにも着手していきたい。」と意欲を見せました。
ITに詳しくZohoも5年以上の利用歴がある島田氏は、Zohoサービスを幅広く活用しながら、事業をすばやく効果的に進めていく姿が印象的でした。実際は、Zohoに業務フローを合わせて試行錯誤しながら導入を進めたそうです。従事者の特長に応じた効果的な業務フローを構築するなど、現場に合わせた具体的な工夫が、これからあらゆる業種でツール導入を進めていく方にとっても参考になったのではないでしょうか。
同社の今後の展開にも注目です。CRM運用時のデータ入力の手間はどの企業でも課題に挙がる点です。
なお、島田氏はZohoユーザーコミュニティ「ZOHO CREW」にも在籍し、今年6月にもイベントで登壇しています。もっと詳しく話が聞きたい方、今後の展開が気になる方は同コミュニティに登録いただければ、オンラインでもやりとりできますよ。
【関連サイト】
●本棚すっきり研究所:http://www.hondana-sukkiri.com/
●ジョブボン:https://www.jobbon.net/
●一般社団法人朗真堂:https://www.romado.net/
●一般社団法人sorairolink:https://sorairolink.com/
講演動画と資料
<Zoholics Japan 2018 レポート 目次>
▼午前の部 共通トラック:
- 【基調講演】シームレスな連携でビジネスを加速させる チーフエバンジェリストが示すZohoの世界観
- 顧客情報は会社の資産 Zoho Oneで目指す業務改革
- Zoho Oneユーザー対談 導入の決め手と構築中・運用開始後のポイント
- Zohoをもっと使いたくなる ユーザーコミュニティー「ZOHO CREW」の紹介
▼午後の部 トラック1:
▼午後の部 トラック2:
- Zoho Connect ユーザー事例「観光まちづくりのための情報共有・プロジェクト管理」一般社団法人南房総市観光協会
- Zoho Connect ユーザー事例「Zohoだからできた! 複数店舗間での効率的な業務フロー」同じ土俵合同会社
- Zoho Connect サイボウズLive完全移行ツールの紹介&プロダクトマネージャーになんでも聞いてみよう!
- Zoho Connect 基本編:会話がしやすくなるツール「Zoho Connect」の紹介
- Zoho Connect 応用編:情報共有と活用のサイクルをグルグル回そう!